F1とF2、どちらも世界最高峰のモータースポーツとして知られていますが、その具体的な違いを正確に説明できるでしょうか?「名前は知っているけれど、何が違うの?」と疑問に思う方も少なくないはずです。この記事では、多くのファンが気になるf1 f2 違いについて、マシンスペックの比較から、レースファンでも意外と知らないF1とF2のタイム差は?という点まで、あらゆる角度から分かりやすく解説します。F1を目指す若手ドライバーたちがしのぎを削るF2の世界を知ることで、F1観戦がさらに面白くなること間違いありません。
- F1とF2のマシンの具体的な性能差
- レースフォーマットやポイントシステムの違い
- ドライバーのキャリアパスにおける各カテゴリの位置づけ
- F1とF2のラップタイムにどれほどの差があるか
マシン性能から見るf1 f2 違い
- F1とF2で異なるマシン開発思想
- エンジン馬力とトップスピードの比較
- F1とF2のタイム差はどれくらい?
- マシンの複雑さとドライバーの意見
- F1とF2の車両重量とシャシー規定
F1とF2で異なるマシン開発思想

F1とF2の最も根本的な違いは、マシンの開発思想にあります。結論から言うと、F1は「コンストラクター(製造者)の競争」、F2は「ドライバーの競争」を主眼に置いたカテゴリーです。
F1では、参戦する全チームがそれぞれ独自にシャシーやエンジンといったマシン全体を開発・製造します。メルセデス、フェラーリ、レッドブルといったチームが技術の粋を集めて性能を競い合うため、莫大な開発予算が投じられ、これがF1の魅力の一つとなっています。チームの名称がマニュファクチャラーに由来するのはこのためです。
一方、F2はF1へのステップアップを目指す若手ドライバーたちのための育成カテゴリーです。そのため、マシン性能による有利不利をなくし、純粋にドライバーのスキルを評価する目的で、シャシー、エンジン、ギアボックスなど、ほぼ全てのパーツが全チーム共通の「ワンメイク」となっています。これにより、ドライバーの真の実力が浮き彫りになるのです。
ワンメイクレースとは?
「ワンメイク」とは、レースに参加する全ての車両が、同一のシャシー、エンジン、タイヤなどを使用するレース形式のことです。これにより、チームの開発力や資金力によるマシンの性能差がなくなり、ドライバーの運転技術やチームの戦略が勝敗を直接左右します。
エンジン馬力とトップスピードの比較
マシン性能の中核をなすエンジンパワーにも、F1とF2では天と地ほどの差が存在します。F1マシンが搭載するパワーユニットは、1.6リッターV6ハイブリッドターボエンジンで、エネルギー回生システム(ERS)と組み合わせることで推定1,000馬力以上を発生させます。
これに対して、F2マシンが使用するのは3.4リッターV6シングルターボエンジンで、最大出力は約620馬力です。この約400馬力もの差は、当然ながら最高速度に直結します。
F1マシンのトップスピードは、サーキットの特性にもよりますが時速370kmを超えることも珍しくありません。一方で、F2マシンのトップスピードは時速320km未満に留まります。この結果、平均速度でも16km/hから24km/hほどの差が生まれるのです。
F1とF2のタイム差はどれくらい?

エンジン馬力や空力性能など、マシンの総合的な性能差は、サーキットでのラップタイムに直接的な影響を及ぼします。同じサーキットを走行した場合、F1とF2の間には1周あたり10秒以上もの圧倒的な差が生まれます。
F1が公開した、マシンの総合力が問われるカタロニア・サーキットでの予選オンボード映像比較が良い例です。このデータでは、F1マシン(ルイス・ハミルトン)のタイムに対し、F2マシン(周冠宇)は1周で13秒以上も遅れるという結果が出ています。
このタイム差は、単純計算でF1マシンがF2マシンをわずか6周で周回遅れにしてしまうほどのスピード差があることを示しています。以下に、F1、F2、そしてその下のF3カテゴリーのスペックとタイム差をまとめました。
カテゴリー | エンジン | 馬力 | 総重量 | ラップタイム | F1とのギャップ |
---|---|---|---|---|---|
F1 | 1.6L V6ハイブリッドターボ | 推定1000馬力 | 746kg | 1分15秒584 | — |
F2 | 3.4L V6シングルターボ | 620馬力 | 755kg | 1分28秒601 | +13秒017 |
F3 | 3.4L V6自然吸気 | 380馬力 | 673kg | 1分33秒286 | +17秒702 |
※上記データは特定のシーズンのカタロニア・サーキットでの予選タイムを元にした一例です。車両規定やコンディションにより、タイムやギャップは変動します。
マシンの複雑さとドライバーの意見

F1とF2の差は、単純な速さだけではありません。F1マシンはテクノロジーの結晶であり、その操作は極めて複雑です。F2からF1へステップアップしたドライバーの多くが、このギャップの大きさに直面します。
F1では、ステアリングホイールに数多くのボタンやダイヤルが配置されており、ドライバーは走行中に燃料の流量、ブレーキバランス、デファレンシャルの設定、エネルギー回生システムの出力などをリアルタイムで調整しなくてはなりません。これらはF2マシンにはない、パフォーマンスを最大限に引き出すための重要な要素です。
ローガン・サージェント選手の証言
2023年にF2からF1へ昇格したウイリアムズのローガン・サージェント選手は、「F1では速く走るまでに多くのことが求められる。それがF2に足らないことなんだ。」と語り、若手ドライバーがF1に適応するためのステップとして、F2とF1のマシン性能や操作の複雑さには改善の余地があると指摘しています。
このように、F2はF1への最終ステップと位置づけられていますが、それでもなお両者の間には大きな壁が存在するのが現状です。
F1とF2の車両重量とシャシー規定

意外に思われるかもしれませんが、よりパワフルなF1マシンの方が、F2マシンよりも最低重量が重く規定されています。これは、F1マシンが巨大で複雑なハイブリッドパワーユニットや、高度な安全装備を搭載しているためです。
2023年シーズンの規定では、F1マシンの最低重量はドライバーを含めて約798kgでした。一方、F2マシンは比較的シンプルな構造のため、同じくドライバー込みで約755kgと、F1よりもわずかに軽くなっています。
シャシーに関しても、前述の通り開発思想が反映されています。
- F1:各チームが独自にレギュレーションの範囲内で設計・製造する。空力性能を追求し、非常に複雑な形状をしている。
- F2:イタリアのレーシングカー製造会社「ダラーラ」が設計・製造したシャシーを全チームが購入して使用する。2024年からは新型車両「F2 2024」が導入され、安全性やF1マシンとの外観上の親和性が高められています。
コストキャップ制度の影響
F1ではチーム間の戦力格差を是正するため、マシンの開発やチーム運営に使える年間予算の上限を定めた「コストキャップ制」が導入されています。これも、開発競争が前提のF1ならではの制度と言えるでしょう。
レース形式から見るf1 f2 違い
- ウィークエンドの進行フォーマット
- ポイントシステムと獲得可能ポイント
- 特徴的なリバースグリッド制度とは
- レースディスタンスと開催地の関係
- f1 f2 違いはドライバーの目標にも
- F1への登竜門としてのF2の役割
- まとめ:f1 f2 違いは多岐にわたる
ウィークエンドの進行フォーマット

F1とF2はレースウィークエンドの構成も大きく異なります。F1は基本的に金曜日にフリー走行、土曜日に予選、日曜日に決勝レースという流れですが、近年は一部のグランプリで「スプリント」が導入され、フォーマットが複雑化しています。
一方、F2のフォーマットはより特徴的で、1つのウィークエンドに2つのレースが開催されます。
F2のレースウィークエンドの流れ
- フリー走行(金曜日):45分間の練習セッション。
- 予選(金曜日):30分間のタイムアタック。この結果が日曜日の「フィーチャーレース」のグリッドを決定します。
- スプリントレース(土曜日):短い距離で行われるレース。スタート順は金曜予選の結果を元にした特殊な方式(後述のリバースグリッド)で決まります。
- フィーチャーレース(日曜日):メインとなる長距離のレース。スタート順は金曜予選の結果通りです。
このように、F2は土日両方でチャンピオンシップポイントを懸けたレースが行われるため、週末を通して見どころが多いのが魅力です。
ポイントシステムと獲得可能ポイント
レースの結果に応じて与えられるチャンピオンシップポイントのシステムも、両者で似ている部分と異なる部分があります。メインレースであるF1決勝とF2フィーチャーレースのポイント配分は、1位25点、2位18点…10位1点と、全く同じです。
しかし、ボーナスポイントやスプリントレースの配点に違いがあります。
F1とF2のポイントシステム比較
- 予選ポールポジション
- F1: 0ポイント
- F2: 2ポイント
- ファステストラップ
- F1: 決勝で記録し10位以内で完走した場合に1ポイント
- F2: フィーチャー/スプリント両方で記録し10位以内で完走した場合、それぞれ1ポイント
- スプリントレース
- F1: 1位8pt、2位7pt … 8位1pt
- F2: 1位10pt、2位8pt、3位6pt … 8位1pt
このため、F2では1回のウィークエンドで獲得できる最大ポイントは、ポールポジション(2pt)+スプリント優勝(10pt)+フィーチャー優勝(25pt)+両レースのファステストラップ(2pt)で、合計39ポイントにもなります。F1の最大獲得可能ポイント(スプリント開催週で34pt)よりも多く、逆転の可能性が高いシステムとなっています。
特徴的なリバースグリッド制度とは

F2のレースを面白くしている最大の要因の一つが、土曜日のスプリントレースで採用されている「リバースグリッド」制度です。これは、速いドライバーをあえて後方からスタートさせることで、レース中の追い抜きを増やし、波乱を生み出すための仕組みです。
具体的には、金曜日の予選結果の上位10名が逆順のグリッドでスタートします。
- 予選1位のドライバー → 10番手からスタート
- 予選2位のドライバー → 9番手からスタート
- …
- 予選10位のドライバー → 1番手(ポールポジション)からスタート
予選11位以下のドライバーは、予選順位通りのグリッドからスタートします。この制度により、予選で速さを見せたトップドライバーたちは、スプリントレースでは多くのマシンをオーバーテイクしなければ上位に入れないため、手に汗握るバトルが期待できるのです。
レースディスタンスと開催地の関係
F2はF1のサポートレースとして、同じ週末に同じサーキットで開催されるのが基本です。ただし、F1の全グランプリでF2が併催されるわけではありません。例えば、2022年シーズンはF1が全22戦だったのに対し、F2は全14戦の開催でした。
また、レースの距離(ディスタンス)も大きく異なります。F1の決勝レースは、モナコGPを除き、走行距離が約305kmに達した時点で終了となります。これに対し、F2のレースはF1よりかなり短く設定されています。
- F2 スプリントレース:約120kmまたは45分
- F2 フィーチャーレース:約170kmまたは1時間
フィーチャーレースではタイヤ交換の義務があるなど、短いながらも戦略性が求められるルールとなっています。
f1 f2 違いはドライバーの目標にも
F1とF2では、そこに参戦するドライバーたちの目標も明確に異なります。この違いを理解することは、両カテゴリーの楽しみ方を深める上で非常に重要です。
F1に参戦するドライバーは、すでに世界の頂点に到達した一握りのエリートたちです。彼らの唯一にして最大の目標は、F1ワールドチャンピオンになること、そしてそのタイトルを何度も獲得することです。マックス・フェルスタッペンのような現役チャンピオンにとっては、タイトル数を重ねて伝説を築くことが夢となります。
一方で、F2に参戦するドライバーたちの目標は、F1のシートを獲得することです。F2は彼らにとって、あくまでもF1という最終目的地に向けた「足掛かり」であり、最高のショーケースなのです。F2でチャンピオンになることやレースで勝つことは、F1チームの首脳陣に自分の才能をアピールするための重要な手段に他なりません。
F1への登竜門としてのF2の役割
前述の通り、F2はF1への「登竜門」として明確に位置づけられています。過去を振り返っても、現在のF1グリッドに並ぶ多くのスタードライバーがF2(またはその前身であるGP2)で成功を収め、F1への切符を掴んできました。
F2からF1へ昇格した主なドライバー
- シャルル・ルクレール(フェラーリ)
- ジョージ・ラッセル(メルセデス)
- ランド・ノリス(マクラーレン)
- オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
- 角田裕毅(RB)※F2を経てF1へ
近年では、レッドブル・ジュニアチームやフェラーリ・ドライバー・アカデミーといったF1チーム直下の育成プログラムに所属するドライバーたちが数多くF2に参戦しており、彼らのパフォーマンスは常にF1パドックから注視されています。日本の岩佐歩夢選手のように、F2での活躍を経て、現在はスーパーフォーミュラで戦いながらF1を目指すドライバーもいます。
まとめ:f1 f2 違いは多岐にわたる
この記事で解説してきたように、F1とF2の違いはマシン性能からレースの仕組み、そしてドライバーの立ち位置まで、非常に多岐にわたります。最後に、重要なポイントをリストでまとめます。
- F1はチームが独自開発したマシンで競う技術競争
- F2は全チームが同じマシンを使うワンメイクレース
- F1のエンジンは約1000馬力、F2は約620馬力
- トップスピードはF1が時速370km超、F2は時速320km未満
- 同じサーキットでのラップタイム差は約13秒以上にもなる
- F1マシンは操作が非常に複雑でF2からの適応が難しい
- F2は週末にスプリントとフィーチャーの2レース制を採用
- F2のスプリントレースでは上位10名が逆順で走るリバースグリッドがある
- ポイントシステムも異なりF2は予選ポールポジションで2点を獲得できる
- F1ドライバーの目標はワールドチャンピオンになること
- F2ドライバーの目標はF1のシートを獲得すること
- F2はF1への登竜門として機能している
- ルクレールやラッセルなど多くのF1ドライバーがF2出身
- F2を知ることでF1観戦がより一層楽しくなる
- 両者は似ているようで全く異なる魅力を持つカテゴリー