F1観戦の醍醐味の一つ、予選。特に「F1 Q1 とは一体何だろう?」と疑問に思ったことはありませんか。F1の予選ルールは複雑に見えますが、基本を押さえればレースが何倍も面白くなります。F1の予選方式には変遷があり、現在のノックアウト方式が採用されています。この記事では、2025年シーズンに向けて知っておきたい最新情報も交えながら、予選の第一関門であるQ1の役割から、スプリント予選との違いまで、分かりやすく解説していきます。
この記事で分かること
- F1予選の基本であるQ1の役割とルール
- Q1を勝ち抜くための重要な要素
- 通常予選とスプリント予選の違い
- F1の予選方式の歴史と今後の動向
F1 Q1 とは?予選の基本を徹底解説
- F1 予選 ルール全体の流れ
- Q1からQ3へのサバイバル方式
- Q1で重要になる107%ルール
- タイヤ戦略がQ1の結果を左右する
- F1 予選方式 変遷の歴史を振り返る
F1 予選 ルール全体の流れ
F1の予選とは、日曜日の決勝レースのスタート順、すなわちスターティンググリッドを決めるためのセッションです。予選で速いタイムを記録したドライバーほど、有利な前のポジションから決勝をスタートできます。現在のF1では、この予選が「Q1」「Q2」「Q3」という3つのセッションに分かれた、ノックアウト方式で実施されるのが基本です。
まず全20台のドライバーがQ1に参加し、そこでタイムが遅かったドライバーが脱落していきます。そしてQ2、Q3と進むにつれて参加台数が絞られていき、最終的にQ3に残った10台がトップ10のグリッドを争うという仕組みです。この最初の関門となるのがQ1(Qualifying 1)であり、ここでつまずくと下位グリッドからのスタートが確定してしまうため、非常に重要なセッションと言えます。
予選の目的
予選の最大の目的は、決勝レースのスターティンググリッドを決定することです。予選1位のドライバーは「ポールポジション」と呼ばれ、最前列からスタートする権利を得ます。
Q1からQ3へのサバイバル方式
現在のF1予選は、ドライバーがふるいにかけられていくサバイバル形式が採用されています。各セッションには制限時間が設けられており、その時間内に記録したラップタイムで順位が決定します。ここで、各セッションの具体的な内容を見ていきましょう。
セッション | 時間 | 参加台数 | 内容 |
---|---|---|---|
Q1 | 18分 | 20台 | 全ドライバーが走行し、下位5台(16位~20位)のグリッドが確定。 上位15台がQ2に進出します。 |
Q2 | 15分 | 15台 | Q1を突破した15台で争われ、下位5台(11位~15位)のグリッドが確定。 上位10台がQ3に進出します。 |
Q3 | 12分 | 10台 | Q2を突破した10台でポールポジションを含むトップ10のグリッドを決定します。 |
このように、Q1は20台から15台へと絞り込むための最初の、そして最も参加台数が多いセッションです。下位チームにとっては、まずこのQ1を突破することが週末の最初の目標となりますし、上位チームであってもマシントラブルや戦略ミスがあれば脱落する可能性があり、気の抜けないセッションです。
Q1で重要になる107%ルール
F1の予選、特にQ1には「107%ルール」という非常に重要な規則が存在します。これは、レースの安全性を確保し、極端に遅いマシンが決勝レースに出走することを防ぐためのルールです。
具体的には、Q1で記録されたトップタイムの107%以内のタイムを出すことができなかったドライバーは、原則として決勝レースへの出場資格を失います。例えば、Q1のトップタイムが1分30秒(90秒)だった場合、その107%は96.3秒(1分36秒3)となり、このタイムを超えてしまうと予選落ちとなります。
107%ルールの例外
ただし、このルールには例外も存在します。予選中の天候が急変した場合や、フリー走行では十分に速いタイムを出せていたにもかかわらず、予選セッション中のトラブルでタイム計測ができなかった場合など、競技委員(スチュワード)が「やむを得ない事情」と判断すれば、特別に決勝への出走が許可されることがあります。
このルールがあるため、各チームとドライバーはQ1で確実に基準タイムをクリアする必要があります。特にマシンの性能が劣るチームにとっては、常にこの107%ルールが大きな壁として立ちはだかるのです。
タイヤ戦略がQ1の結果を左右する

予選の速さを決めるのはマシンの性能やドライバーの腕だけではありません。タイヤをいかにうまく使うかという戦略が、Q1突破の鍵を握ります。F1では、毎週末に3種類の硬さのドライタイヤ(ハード、ミディアム、ソフト)が供給されます。
一般的に、最も柔らかいソフトタイヤが一番グリップ力が高く、速いラップタイムを出しやすいです。そのため、予選では多くのチームがソフトタイヤを使用します。しかし、予選で使えるタイヤの数には限りがあるため、チームはQ1、Q2、Q3、そして決勝レースを見据えて、どのタイミングでどのタイヤを使うかを慎重に計画しなければなりません。
Q1でのタイヤ戦略例
- トップチーム:マシンの性能に余裕があるため、Q1では性能が一段階劣るミディアムタイヤでタイムを出し、より高性能なソフトタイヤをQ2やQ3のために温存しようとすることがあります。
- 中団・下位チーム:Q1突破が当面の目標であるため、最初からソフトタイヤを投入して確実にタイムを出しにいく戦略が一般的です。
また、セッションが進むにつれて多くのマシンが走行すると、路面にタイヤのゴムが乗り、グリップが増していきます(ラバーイン)。この路面状況の変化を読み、セッションのどのタイミングでアタックするかも、Q1を勝ち抜くための重要な戦略要素の一つです。
F1 予選方式 変遷の歴史を振り返る
現在F1で採用されているノックアウト方式は非常にスリリングで分かりやすいですが、ここまでたどり着くには長い歴史と試行錯誤がありました。F1の予選方式には様々な変遷があったのです。
実は、昔は今とは全く違う予選方式だったんですよ。例えば、土曜日の1時間を使って、その時間内なら何周走ってもよく、その中のベストタイムでグリッドを決めるというシンプルな時代もありました。また、2000年代には各ドライバーが1周だけでタイムを競う「ワンラップアタック」方式も採用され、一発勝負の緊張感が魅力でした。
他にも、2日間(金曜・土曜)の合計タイムで決めたり、Q1とQ2で1台ずつ脱落していく複雑な方式が試されたりもしました。しかし、多くのファンにとって分かりにくかったり、セッションの終盤までマシンが走らなかったりする問題があり、様々な議論を経て、2006年から現在のQ1,Q2,Q3によるノックアウト方式の原型が導入されたのです。
このように、F1は常によりエキサイティングでファンが楽しめるレースを提供するために、予選方式の改善を続けてきました。現在の方式も、ファンからのフィードバックや時代の変化に応じて、今後見直される可能性は十分に考えられます。
F1 Q1 とは違う?スプリント予選の仕組み
- スプリント・シュートアウトの概要
- 通常予選とのタイムスケジュールの違い
- スプリント予選でのペナルティの扱い
- 2025年に向けたルールの動向
- ポイントが付与されるスプリントレース
スプリント・シュートアウトの概要
近年、F1では年間の数戦で「スプリント」というフォーマットが導入されています。これは、通常のグランプリに加えて、約100kmの短いレースを行うものです。そして、このスプリントレースのグリッドを決めるために行われるのが、「スプリント・シュートアウト」と呼ばれる専用の予選セッションです。
スプリント・シュートアウトもQ1,Q2,Q3と同じくノックアウト方式ですが、各セッションの時間が短縮されているのが特徴です。これをSQ1, SQ2, SQ3と呼びます。
スプリント・シュートアウトのルール
- SQ1(12分間):全20台が参加し、下位5台が脱落。ミディアムタイヤの使用が義務付けられます。
- SQ2(10分間):15台で争われ、下位5台が脱落。ここでもミディアムタイヤの使用が義務です。
- SQ3(8分間):残った10台でトップ10のグリッドを争います。SQ3ではソフトタイヤの使用が義務付けられています。
このように、スプリント・シュートアウトは、より短時間で、かつ使用できるタイヤに制限があるため、通常予選とはまた違った緊張感と戦略が求められるセッションとなっています。
通常予選とのタイムスケジュールの違い
スプリントが開催されるグランプリウィークは、通常の週末と比べてタイムスケジュールが大きく異なります。フリー走行の時間が減り、その分、ファンにとっては見どころの多いセッションが増えることになります。ここで、2つのフォーマットを比較してみましょう。
曜日 | 通常ウィークエンド | スプリントウィークエンド |
---|---|---|
金曜日 | フリー走行1 フリー走行2 | フリー走行1 決勝レースの予選(Q1, Q2, Q3) |
土曜日 | フリー走行3 決勝レースの予選(Q1, Q2, Q3) | スプリント・シュートアウト(SQ1, SQ2, SQ3) スプリントレース(約100km) |
日曜日 | 決勝レース | 決勝レース |
最も大きな違いは、スプリントウィークエンドでは金曜日に決勝レースの予選が行われる点です。そして土曜日はスプリントのためだけの一日となり、午前中にスプリント・シュートアウト、午後にスプリントレースが開催されます。つまり、週末に2回も予選とレースが楽しめる、非常に密度の濃いフォーマットなのです。
スプリント予選でのペナルティの扱い

週末に予選やレース形式のセッションが増えることで、ルール違反によるペナルティの適用方法も少し複雑になります。どのセッションで受けたペナルティが、どのレースに影響するのかを理解しておくことが重要です。
ルールはシンプルに、「ペナルティが発生したセッションが、どの決勝グリッドを決めるためのものか」で判断されます。
ペナルティ適用の基本ルール
- 金曜日のフリー走行1または予選(Q1,Q2,Q3)で科されたグリッド降格ペナルティは、日曜日の決勝レースに適用されます。
- 土曜日のスプリント・シュートアウトで科されたグリッド降格ペナルティは、土曜日のスプリントレースに適用されます。
- スプリントレース中に科されたグリッド降格ペナルティは、日曜日の決勝レースに適用されます。
- マシンに変更を加えるなどのパルクフェルメルール違反は、スプリントと決勝の両方でピットレーンスタートとなる場合があります。
このように、ペナルティは関連するセッションにのみ適用されるのが基本です。このルールを覚えておくと、レース観戦中にペナルティが出た際にも、その影響範囲を正しく理解できます。
2025年に向けたルールの動向
F1は常に進化を続けており、レギュレーションは毎年のように見直されています。特に2025年に向けては、パワーユニットやシャシーに関する大きな技術規則の変更が予定されており、F1界全体が大きな転換期を迎えます。
もちろん、予選方式もその例外ではありません。現在、スプリントフォーマットの評価や、ファンからのフィードバックを元に、予選方式に関する様々な議論が行われています。例えば、リバースグリッド(前戦の結果が悪いドライバーほど前のグリッドからスタートする方式)の導入案が過去に何度も議論されてきましたが、競技の公平性の観点から採用には至っていません。
しかし、2025年以降、新しい世代のマシンが導入されるタイミングで、予選フォーマットにも何らかの変更が加えられる可能性はゼロではありません。F1はファンを魅了し続けるために、常にスペクタクル性の向上を目指しています。そのため、今後のルール変更に関する公式発表には、引き続き注目していく必要があるでしょう。
ポイントが付与されるスプリントレース
スプリントは、単に日曜日の決勝レースのグリッドを決めるための予選ではありません。それ自体が独立したレースとして扱われ、上位入賞者にはチャンピオンシップポイントが与えられます。
これはドライバーとチームの年間チャンピオン争いにおいて、決して無視できない要素です。ポイントは上位8名のドライバーに以下のように与えられます。
順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ポイント | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
このポイントは、ドライバーズチャンピオンシップとコンストラクターズチャンピオンシップの両方に加算されます。そのため、各チームはスプリントを単なる前哨戦と捉えず、貴重なポイントを獲得するための重要な機会として、全力でレースに臨むのです。
まとめ:F1 Q1 とは決勝への第一歩
この記事では、F1予選の最初の関門であるQ1を中心に、そのルールや重要性、そして関連するスプリントフォーマットについて解説しました。最後に、記事全体の要点をまとめます。
- F1予選は決勝レースのスタート順を決めるセッション
- 現在の予選はQ1, Q2, Q3の3段階からなるノックアウト方式
- Q1は全20台が参加し下位5台が脱落する最初の関門
- Q1ではトップタイムの107%以内で走る必要がある
- 107%ルールは安全性の確保が目的だが例外も存在する
- Q1突破にはタイヤを温存するか全力で使うかの戦略が重要
- 路面のグリップ変化を読むこともタイムアップの鍵
- F1の予選方式は時代と共に変化してきた歴史がある
- スプリントウィークエンドには専用の予選「スプリント・シュートアウト」がある
- スプリント・シュートアウトはセッション時間が短く使用タイヤに制限がある
- スプリントウィークは金曜に決勝予選、土曜にスプリント関連セッションが行われる
- ペナルティは関連するセッション(予選→決勝、シュートアウト→スプリント)に適用される
- スプリントレースは独立したレースで上位8名にポイントが与えられる
- 2025年のレギュレーション変更に伴い予選方式が見直される可能性もある
- F1 Q1 とは、週末の成功を左右する非常に重要な第一歩である